看護の古典「ケアの本質」をわかりやすく読み解く④〜ケアの要素〜

看護

今回は「ケアの本質」のⅡケアの要素の最後の2つの要素について解説していきます。
2つの要素とは「希望」と「勇気」です。

言葉だけを聞くとすごく聴きなれた言葉なので、説明するまでもないと思うかもしれませんがメイヤロフにかかればこの言葉の深いこと深いこと・・・。

最初読んだときは何の話をしているのか理解できませんでした。
何回か読んだ今でも完璧に理解しているかと言われれば自信がありません。

ただ、きっと正解はわからないものだと思います。(メイヤロフのみが知る)
それをどう解釈するのかは無限にあってもいいのだと思います。

なので、今回私がお話することもあくまで私の解釈であることをご理解くださいね^^

ケアの主な要素7:希望

希望という言葉の意味は辞書ではどんな意味なんだろう?とふと思ってググってみました。
そしたら以下のように書かれていました。

未来に望みをかけること。
こうなればよい、なってほしいと願うこと。また、その事柄の内容。
望みどおりになるだろうというよい見通し。

Oxford Languagesの定義

しかし、メイヤロフが述べている希望はこれとは意味合いが異なります。
メイヤロフは希望について以下のように述べています。

私のケアをとおして相手が成長していくという希望(Hope)がある。これはある特定のことを期待する場合の希望と違い、より一般的なものである。

ミルトン・メイヤロフ,ケアの本質,p60,ゆみる出版,2012.

相手にただ望みをかけるのではなく、私がケアすることによって相手がより成長していくということ期待する。そして、希望を持つということは今現在には満足していないからという意味ではなく、今現在満足しているからこそ、未来にも可能性を感じるという意味合いです。

高齢者ケアを専門としている私にとって、この部分は本当に考えさせられました。
高齢者にとって未来とは・・・?と。
高齢者ケアに希望は持てるのか?と一般的には思われているのではないかと。

結論から言うと、高齢者ケアにも未来はあり、希望は持てます!
一般的には高齢者=死に向かっている人というイメージが持たれやすいですが、エリクソンの発達理論においては老年期の発達課題は「統合」とされています。また、「老年期」のさらに上の段階として「老年性超越性」という段階も存在しています。

つまり、老年期においては様々な喪失体験をしますが、それを乗り越え生活を再編成していく、そしてこれまでの人生を統合していくことが大切とされています。
こんな大きな発達課題を、様々な疾患を抱えた高齢者一人で乗り越えるのは難しいと思います。

そこで私たちの出番です!!
高齢者をケアするということは、単に疾病に関するケアをすることではなく、こういった発達課題を乗り越えることができるようにケアすることがとても重要だと思いませんか?
そしてそのためには「希望」を持つことが必要ではないかと思います。

ケアの主な要素8:勇気

いよいよ最後の要素、「勇気」です。
これもまずググって意味を調べてみました。
「(勇んで)ものおじせずに立ち向かう気力」(Oxford Languages)とありました。

これはメイヤロフのいう勇気とほぼ同じ意味合いかなと思います。
メイヤロフの述べている箇所で一番大切かなと思うところを引用しておきますね。

相手が成長していくこと、私のケアする能力ーこの二つを信頼することは、未知の世界に私が分け入って行くにあたって勇気を与えてくれる。一方、未知の世界に分け入って行くだけの勇気がなければ、この信頼をおくことが不可能であることも、また真実なのである。

ミルトン・メイヤロフ,ケアの本質,p65,ゆみる出版,2012.

ケアする相手だけではなく、私自身のケアする能力についても信頼する勇気を持つことが大切ということですね。

ケアするとき、自分自身が行うケアに対して自信が持てなかったり、相手がどんな反応を示すか不安になったりしませんか?私はいつも不安です・・・。

でもそんな不安を持つことは悪いことではないと思うんです。不安を持ちつつも、勇気を振り絞ってケアしていく。それを積み重ねることで、相手だけではなく自分自身も成長していくのではないでしょうか。

不安を持ちつつ、それに耐える力。つまりはネガティブケイパビリティですね!!
ネガティブケイパビリティについては過去記事にありますのでよかったらお読みくださいね。

以上で「ケアの本質」のケアの主な要素についての解説は終わりです。
いや〜難しかった!!!でもすごく勉強になりました。
これからも読み続けたいと思います。
きっと経験が重なることで解釈が変わってくると思いますが、それも楽しみですね。

ではまた♡

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