看護の古典「ケアの本質」をわかりやすく読み解く③〜ケアの主な要素〜

看護

今回は「ケアの本質」を読み進めていきます。
皆さんは、日頃ケアを行うとき自分に正直になっていますか?そして相手をきちんと信頼していますか?さらに、謙遜していますか?

今回のケアの主な要素は「正直」「信頼」「謙遜」についてです。

わかるような、わからないような・・・というのが率直な感想だと思います。
言葉としては聞き慣れた言葉ですよね。

この3つのキーワード、とても重要です。日頃意識していないかもしれませんが、これを意識するのとしないのとではケアの質に大きな差が生まれるといっても過言ではありません。

一つ一つ噛み砕いて説明していきますので是非最後までお読みくださいね♡

ケアの主な要素4:正直

正直であるというとき、イメージすることは「嘘をつかない」とか「騙さない」ということだと思います。しかし、ここでいう正直とは、そういった意味合いとは少し異なります。

この正直の意味は“自分自身に正直である”という言葉で示されるが、それは実際に自分自身に面とむかい、心を開くことを指している。ケアする中で、対象を忠実に見ようと努力する点において私は正直である。他者をケアする中で、あるがままの相手を見つめなければならないのであって、私がそうして欲しいとか、そうあらねばならないと感じる気持ちで相手を見つめることはないのである。

ミルトン・メイヤロフ, ケアの本質,p46-47,ゆみる出版,2012.

私はこの部分を読んで、ドキッとしました。ケアするとき、つい頭の中では相手に対して「こうであって欲しい」「こんな反応を返して欲しい」と考えていることが多いからです。頭の中でつい計算してしまうんですよね。。。

そうするとどうなるか?相手が思った反応を示さなかった時に動揺してしまうのです。
「こんなはずじゃなかった・・・」と。

ありのままの相手を受け止める、頭の中で計算をせずに素直な気持ちで相手と向き合う。
それが大切だということですね。

そして、あと一つ注意すべきことは、相手をあるがままに見つめる一方で、あるがままの自分をも見つめなければならないとメイヤロフは述べています。

自分自身がしていることを客観的に見つめ、自分が行なっているケアが相手の成長の助けになっているか、逆に妨げになっていないかを確認することが大切です。

ケアの主な要素5:信頼

ケアにおいて「信頼」という言葉はもう聞き慣れた言葉かと思います。ただ、ここでいう信頼とは、単に信じて頼るというような意味合いだけではありません。

ケアには、その相手が、自らに適したときに、適した方法で成長していくのを信頼(Trust)することが含まれる。信頼は、ケアする相手の存在の独立性を、他者は他者なのであるとして、尊重する。

ミルトン・メイヤロフ,ケアの本質,p50,ゆみる出版,2012.

信頼するということは、相手を尊重することでもあるということがこの文からわかるかと思います。

子育てで考えるとわかりやすいかと思いますが、発達段階に応じてできること、できないことがあると思いますが、何から何まで手を出してあげるのではなく、相手が成長することを信じて、相手を尊重して見守ることもときには必要ですよね。

特に、高齢者が入院してきた場合、私たちはつい転倒転落の危険性を重視して、何から何まで動くことを制限してしまうことがありませんか?

実際にあった事例ですが、認知症のある方がベッドサイドで車椅子に座っていたのですが、ふと立ち上がり出しました。私はこの方がどういう行動をするのか見守って見ようと思い、そのまま手を出さずに見守りました。すると、この方はきちんと立位をとり、棚の中の整理をし出したのです。「あぁこれはここにあったのね」と言いながら・・・。

何気ない行為ですが、とても大事だと思いませんか?自分の身の回りのものを整理し、どこに何があるのかを把握する。日常生活では当たり前のことですよね。入院してきたらつい、看護師が患者さんの荷物を片付けてしまっておきますよね。(特に認知症高齢者の場合)

車椅子に座っていた患者さんが、立ち上がろうとしたとき「あっ!ダメですよ。座ってください。」と言っていませんか?患者さんにも患者さんの意図があります。何をしたいのか確認し、それを見守る、もしくは一緒にやるということが相手を信頼することにつながるのではないかと思います。

そして、メイヤロフは相手を信頼するだけではなく、自分自身の能力を信頼することも大切だと述べています。看護専門職としての自分自身の能力、これまでの経験からくる直観を信頼すると同時に、失敗した時も、そこで落ち込むのではなく、自分には失敗から学ぶ力があると信頼することが大切だということです。

私はつい、一度の失敗を引きずってしまうことがあります・・・。失敗は誰にでも起こること。大切なのはそこから学び取ることですね!!そして自分にはその力があると信じること!肝に命じます。

ケアの要素6:謙遜

先ほど、自分の力を信頼するということを述べたばかりですが、信頼するのと過信することの違いは区別しなければなりません。

ここで大切な要素「謙遜」についてお話ししていきます。

謙遜(Humility)はケアの中にあるものであるが、その様態にはいくつかある。第一に、ケアが自分の相手の成長に対応していくものなので、ケアは相手について継続的に学ぶことを含んでいる。つまり、常に学ぶべきものが次にひかえているわけである。・・・(中略)・・・ケアされている人から学ぶことも意味している。

ミルトン・メイヤロフ,ケアの本質,p55,ゆみる出版,2012.

自分は専門職として何でも知っていると過信するのではなく、相手と接する中で様々なことを学び取り、自分が知らないこともあるという前提で関わることも大切であるということです。つまり、学ぶことを辞めてはいけないということですね。

私の勝手な印象ですが、看護師って学ぶこと好きな方が多い気がします。セミナーとか勉強会とかよく参加されてますよね。

ただ、ここでいう学ぶというのは、単に座ってお勉強するということだけではなく、相手と関わる中で学び取るということも意味しているのだと思います。

特に、高齢者ケアにおいては私たちが経験していない時代、年代を生きているわけですから、想像をはるかに絶する体験をされている方に接します。私たちが持っている知識なんてきっと微々たるものですよね・・・。それを肝に命じて、相手から学ぶ。という姿勢を大切にしたいですね。

私が学生の頃に恩師から言われた言葉。
「あなたが考えてもわかることじゃないでしょう。相手(高齢者)に聞きなさい。」
つい、専門職として何でも自分で考えなければならないと変なプライドが邪魔して、教えていただくということを忘れている自分がいました。

わからないことがある自分を認め(正直)、相手や自分自身を信頼して、相手から学ぶ(謙遜)ことをケアするものとして忘れずにいたいなと思います。

いかがでしたか?少しは自分ごととして考えられたでしょうか?
これまでの要素(過去記事)も振り返りながら、整理していってくださいね^^

ではまた♡

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