こんにちは。
今日は認知症高齢者とのコミュニケーションについてお話します。
以前にも少しお話ししましたが、今回はより詳しく解説していきますね。
過去記事はこちら(記事1、記事2)
みなさんは認知症高齢者とのコミュニケーションに苦手意識はありませんか?
実際に聞かれる声として以下のようなことをよく耳にします。
・何度も同じ話をしてくるから対応に困ってしまう。
・嘘か本当かわからなくて戸惑う。
・急に怒ったりするから怖い。
・興奮すると手がつけられなくなって大変。
今回はコミュニケーションにおける基本的なことをお伝えしますが、この基本を押さえて関わるだけでコミュニケーションがとてもスムーズにいきます。
ポイントは非言語的コミュニケーションを活用して、最初の関わりで好印象を与えることです。
ぜひ最後までお読みください。
コミュニケーションにおける10のポイント
今回は、室伏君士先生の著書「認知症高齢者の本態の理解」から抜粋しながら解説していきます。
10このポイントは以下の通りです。
①ほほえみの交わし
②温かいまなざしの結びつき
③うなずきの示し
④やわらかい話しかけ
⑤ゆっくり合わせて聴く耳を
⑥ぬくもりの手の触れ合い
⑦敬愛的な挨拶
⑧横隣に座って話し合う
⑨はっきりやさしく、簡単に分かりやすく話す
⑩なじみになること
特に重要なのは①と②です。
最初関わる時は、視線を捉えながらもある程度の距離を保ったところから声をかけます。
そして、視線がきちんと合っていることを確認したら、満面の笑み(目元を緩ませて)で声をかけます。
これだけも十分、相手は穏やかになり話をする準備ができます。
そして、話を実際に進めるときは、簡単な質問から投げかけ、相手が応えるのをうなずきながら聴きます。その際に、間違えていることなどを話したとしても決して否定してはいけません。
また、認知症高齢者は応えるまでに時間がかかったりもするので、話し出すのを待つ姿勢も大切です。
相手が興奮していたり、不安が強い時にはさりげなく手をとり両手で包んであげたり、背中をさすったりすると落ち着く場合もあります。
そしてコミュニケーションの大前提として⑦にもあるように「敬愛的」であることです。時折、認知症高齢者に対してまるで子どもに接するかのように話している場面を見かけることがありますが、認知症になっても礼節を保った方は多くいますし、たとえ本人が礼節を失っていても、関わる側の私たちは敬意を示した関わりが重要だと思います。
コミュニケーションの具体例
私が実際に関わった事例を紹介します。
Aさん、90代女性でアルツハイマー型認知症の方です。
心不全の悪化のため入院してきたAさんは、入院時から落ち着きなく、「家に帰る」と言って病棟内を歩くという姿が見られていました。病棟看護師がつきっきりで本人の後ろから付き添っている状況でした。Aさんは時折後ろを振り返り「ついてこないで!!」と怒る様子も見せていました。
このAさんに関わる際、私は少し離れた場所から「Aさん?」と呼びかけました。
するとAさんは怪訝そうな顔でこちらを見ました。
私はAさんと目が合ったことを確認し、笑顔で「初めまして。〇〇です。」と声をかけ近づきました。
そしてAさんに向かってさりげなく手を差し出しました。するとAさんは抵抗することなく手を伸ばして握手してくれました。
その後は、Aさんの隣に座って、時折背中をさすりながら、「帰りたい」という思いに寄り添い、思いを傾聴していきました。
するとAさんは少しずつ落ち着きを取り戻し、「あぁ、あなたの手は温かいね。ありがとうね。」と涙する場面も見られました。
このAさんに限らず、認知症高齢者の方々は、話をゆっくり聴いていくと涙を流しながら感謝の意を表すかたが多くいます。
私が察するに、おそらく普段、自分の思いをゆっくり聴いてもらう機会が少ないのではないかと思います。
「認知症になった本人は何もわからなくなって幸せ」ということをよく耳にしますが、実際は認知症の方は自分が自分じゃなくなっていくような不安感、焦燥感、など様々な思いを抱えています。
そんな思いを抱えながらも一生懸命に毎日を過ごしているのです。
今回お話しした10のポイントを意識しながら、コミュニケーションを実践してみてください。
最初はぎこちなくなってしまうかもしれませんが、回数をこなしていくと自然とできるようになります。
みんなで実践して、認知症高齢者に安心感を届けていきましょう!!
ではまた♡
今回参考にした本↓
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