今回は第Ⅱ章「ケアの要素」についてお話しします。
ケアの要素は全部で11項目ありますが、3項目ずつ解説していきます。
では早速みていきましょう。
ケアの主な要素1:知識
看護師は勉強することが好きな人が割といるような印象があります。
疾患についての勉強とかインスタで投稿しているのをよく見かけますし、資格を取るために勉強している方もいるかと思います。
しかし、ここでいう「知識」というのは単なる疾患や看護技術に関することだけではありません。
言語化できる知識だけではなく、暗黙に(言語表現できない仕方)知ることも知識なのです。
著者は以下のように述べています。
誰かをケアするためには、私は多くのことを知る必要がある。たとえば、その人がどんな人なのか、その人の力や限界はどれくらいなのか、その人の求めていることは何か、その人の成長の助けになることはいったい何かーなどを私は知らねばならない。
ミルトン・メイヤロフ,ケアの本質,p34-35,ゆみる出版,2012.
つまり、真のケアにおいては相手のことを十分に知ることが重要であるということです。
単純に疾患や看護技術の知識を持って相手に当てはめるのではなく、まずはじめに「相手のことを知る」ことからスタートすることが大切なのかなと思いました。
また、相手だけではなく、自分自身の力と限界の程度を把握することも大切だと著者は述べています。相手の求めていることに自分が応えることができるのか、それを正しく判断することも専門職として大切なことですね。
ケアの主な要素2:リズムを変えること
5月に入り、新人看護師さんも少しずつ病棟に慣れて落ち着いた頃でしょうか。
先輩看護師さんは新人さんに「業務に慣れた?」と聞くこともあるかと思います。
この「慣れる」ということについて少し考えたいと思います。
看護業務に慣れることはいいことである反面、ルチーン化してしまい、そこに疑問を持つことがなくなってしまうという恐ろしさもあると思いませんか?
著者は、以下のように述べています。
単なる習慣に従って行うだけではケアすることはできない。私は自分の過去の経験から学びとらねばならない。私の行動がもたらす結果が何であるか、私の援助は成功したのかどうかを考え、さらに結果に照らして、私がよりよく他者を援助するため、自分の行動をそのまま続けたり、正さなければならない。
ミルトン・メイヤロフ,ケアの本質,p40,ゆみる出版,2012.
私たち看護師は専門職として、手際よく、テキパキと仕事をこなす。そんな看護師が格好良く見え、そうでなければならないとどこかで思っていることがあるかと思います。
ですが、専門職だからこそ「一度立ち止まる」ゆとりを持つことが必要だと思います。
自分が行ったケアが相手にどう影響を与えているのか?そこを確認して次の行動を考える。
それをしないままケアを行うのは一方的な「ケアの押し付け」と受け止められてしまう可能性もあります。
また、相手の反応を確認する上では「より狭い枠組みとより広い枠組みとの間を往ったり来たりする」ことが大事で、これを著者は「行動のリズム」と述べています。
つまり、起こっている現象をピンポイントでみたり、一歩引いてみたりすることですね。
「一度立ち止まる」、実践してみてくださいね。
ケアの主な要素3:忍耐
忍耐とは、何かが起きるのを座視することではなく、私たちが全面的に身をゆだねる相手への関与の一つのあり方なのである。
ミルトン・メイヤロフ,ケアの本質,p44,ゆみる出版,2012.
※座視・・・黙ってみているだけで、そのことに関係しようとはしないこと。
ここでいう忍耐とは、何かを言われても、何が起こっても我慢するという忍耐とは少し違う意味合いです。
引用した文だけ読むと少し意味が掴みづらいかもしれません。
要するに、「相手の持てる力を信じて関わる」ということかなと私は解釈しました。
子育てで考えるとわかりやすいかもしれませんが、子どもがやる前に親が先に手を出して何でもかんでもやってあげる。そうすると子どもは自分の力を出し切ることができません。見守りさえすれば自分でできることがたくさんあるのに・・・。
過去にストレングスの視点についてお話ししましたが、ストレングスを引き出す関わりにこそ「忍耐」は必要になってくるのかなぁと思いました。
また、著者は「相手に忍耐を示すと同時に、自分自身に対しても忍耐せねばならない」と述べています。
相手だけではなく、自分の力を信じ、見守っていくことが大切なんですね〜。
今回はここまでです。
どうでしたか?少しは伝わってるといいのですが・・・。
この本はやっぱり哲学的で言い回しが難しい本なので、解釈するためにいろんな例えをイメージしたりしています。続きも頑張って読み進めたいと思います。
ではまた♡
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