こんにちは。
今日は認知症のスクリーニングについてのお話です。
参考にした本は「認知症の人の心の中はどうなっているのか?」(佐藤眞一)です。
この本については以前、「認知症の人を理解するためのオススメ本②」でも紹介しました。
よければ過去記事も見てみてくださいね。
スクリーニングについてのお話をする前に、なぜ認知症のケアが大切なのか?ということからお話していきたいと思います。
認知症に対する最後の砦は「ケア」である。
皆さんもお分かりのように、高齢化が進行している日本では認知症を抱える人の数も必然的に増加して行くことが予測されています。
その中で、政策として「認知症サポーター」の養成などがされていますが、実際にはうまく機能していないのが現状です。また、医療的な対応として認知症薬が出されていますが、副作用の割には効果が低いという理由でヨーローッパでは保険適用廃止となっているそうです。
このように、政策、医療で対応が困難な認知症、筆者は「最後の砦は認知症ケア」であると述べています。また、以下のようにも述べています。
認知症になっても自分らしく幸せに暮らすには、ケアの質を高め、ケアをよりよいものにしていくことが、現状ではほとんど唯一の方法だと言ってもいいでしょう。
佐藤眞一,認知症の人の心の中はどうなっているのか?,p6,光文社新書,2019.
ケアの質を高めるためには、コミュニケーションがとても大切になってきますが、皆さんも日頃感じていると思いますが、認知症の人とのコミュニケーションは一筋縄ではいきません。そして、会話がうまく成り立たないことによって一番困っているのは認知症の人たちです。
私も病棟で認知症高齢者の方と接することが多くありますが、大体の場合が認知症によりコミュニケーションがうまくいかないことで、不安や焦燥、混乱を抱えた状態になっています。
このことからも、認知症ケアがいかに重要かということが理解できると思います。
スクリーニング検査を受ける認知症の人の気持ち
みなさんの病院では、認知症の人に対してスクリーニング検査を実施していますか?
私が勤務している病院では、リハビリスタッフによりMMSEで評価していることが多いです。
認知症のスクリーニングには長谷川式認知症スケールやMMSEなどがありますが、この検査、皆さん内容を知っていますか?質問項目を見るとわかると思いますが、この検査、自分がもし受ける側になったらどう感じるでしょうか?私はすごくプライドが傷つくと思います。
認知機能を確かめる検査、すごくストレートすぎて、実施するには相当の配慮が必要だと私は思います。この検査を決して否定しているわけではなく。。。実施するならきちんと訓練を受けた上で実施するべきだと思うのです。だから、私は認知症の人に実施したことはありません。
もっと他覚的に評価ができないものか?と思っていたところ、この本を読んで「CANDy」という評価方法があることを知ったのです。
この評価方法は計30分ほど日常会話をする中で評価をしていくものです。認知症の人とコミュニケーションを図りながら評価ができるので相手に不快感を与えることもありません。
詳細を知りたい方は是非この本を読んでみてください。
また、「日常会話式認知機能評価」と検索するとマニュアルがダウンロードできるようになっています。
私もまだ勉強し始めなので、マニュアルを読み込んだ上で、実際に使用してみようかと思います。
この認知機能評価をすることで、その人の会話の特徴が見えてきますので、ケアに役立つと思います。
認知症の人の「同じことを何度も聞く」への対処法
認知症の人とのコミュニケーションで一番多いのは「同じことを何度も聞く」ではないでしょうか?
みなさんは普段どのように対処していますか?
ゆとりがあるときは何度も答えてあげて対応できると思いますが、心にゆとりがないときは、イラっとしたりしませんか?
認知症の人が同じことを何度も聞くのは、物事を記憶する力(記銘力)が低下するからです。その人にとってとても大切なことだから気になって尋ねるものの、そのことをまた忘れてしまうのです。
でもその人にとって大切なことは覚えています。だから確認したくて聞くのです。それに対しての適切なケアはやはり、不安を察して不安を取り除くために何度も説明することです。
ただ、実際にそれがずっとできるかというと現実的ではないですよね?
筆者はその場合にポイントとなるのは「その人が何が好きか」ということであると述べています。その人が好きなことへ意識を切り替えてもらうことで、本人の不安も消え、落ち着くということです。
これを実践するには、「その人の好きなこと」を把握することが前提ですね。好きなことだけではなく、その人が得意なことでもいいですね。
そして、もう一歩ケアをすすめるとしたら、「どんな時に不安になるかを見極め、その前に気持ちをポジティブにしておく」という方法をとるということも述べています。先回りのケアですね!
この本には他にもCANDyを使って日常会話からその人を知るための具体的な方法について記載されています。認知症の人を理解する手助けになるだけではなく、会話をすることが楽しくなる1冊だと思いますのでオススメです。是非是非読んでみてくださいね!!
ではまた♡
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