お久しぶりです。
長かったナイチンゲールの「看護覚え書」シリーズも今回で終わりとなります。
今回は第12章:「おせっかいな励ましと忠告」と、第13章:「病人の観察」です。
あなたは日頃、患者さんに「大丈夫ですよ」とか「頑張りましょうね」と声をかけていませんか?
それはナイチンゲールに言わせると「おせっかいな励まし」です(笑)
また、患者さんと接する際、きちんと観察しているでしょうか?体温計、血圧計、パルスオキシメーター、心電図モニターなどの機械を頼ってはいないでしょうか?
耳が痛いことも出てくるかと思いますが、ナイチンゲールの厳しさに最後まで鍛えてもらいましょう!!
では詳しく解説していきたいと思います。
第12章:おせっかいな励ましと忠告
病人が直面している危険を、わざと軽く言い立てたり、回復の可能性を大げさに表現したりして、病人に「元気をつけよう」とする、そのような行為は厳に慎んでいただきたい。
フロレンス・ナイチンゲール,看護覚え書,p165,現代社,2017.
現在は、コロナの影響でお見舞いも禁止している病院が多いかと思いますが、お見舞いに来た人々が患者さんにどのような声かけをしているか、観察したことがあるでしょうか?
ナイチンゲールは、このような安易な声かけから患者を守るのは看護師の役目だと述べています。
患者にお見舞いの方が来た時には是非、さりげなくどのような会話をしているのか意識して観察をするか、もしくはお見舞いの方が帰った後に、患者さんのところへ行き、様子を伺うといいですね。
ナイチンゲールは、「病人は楽しい消息を聞くことにたいへんな悦びを感ずるものである」と述べています。
この部分を読んだ時、私は正直びっくりというか、「え?ほんと?」と思いました。なんとなく、大変な思いをしている患者さんに対して、「明るい、楽しい話題」をすることって不謹慎?という思いがあったからです。
でも、「病人はあなた方に、自分といっしょになって涙もろくなったり泣き言をいったりしてもらいたくはない。彼らは、あなた方がはつらつとして、活発で、またものごとに関心を持って生きているのが好きなのである。」という部分を読んで納得しました。
確かに、患者さんに「あなたたちの働いている姿見て、元気が出るわ」と言われたことが何度かありました。状況は少し異なりますが、私たちも日頃、とてもポジティブな人がそばにいるだけで、自分の悩みが小さいものに感じて元気が出たりしませんか?
あとは、「赤ん坊と病人という組み合わせほど、お互いに益ある交わりはほかにない。」とナイチンゲールは述べています。赤ちゃんはとても純粋な瞳をしていますよね。それによって病人の心がすみずみまで洗い清められるということです。「赤ちゃん×入院患者」。研究のテーマにもなりそうな、いいヒントを得ました。
赤ちゃんではありませんが、以前テレビで観たのですが「癒し馬」という存在があるようです。確か、外国のホスピスでの取り組みでしたが、馬を患者さんの側まで連れて行くと、その馬が透き通った瞳でずっと患者さんを見つめるのです。すると、患者さんの方が涙を流しながら感情を吐き出している場面が映し出されていました。同じような取り組みが国内でされているか調べてみると、日本医科大千葉北総病院という病院で取り組みを始めようとしている情報がありました(2017年時点ですが)。http://www.medicalwel.com/1265
私たちは、赤ちゃんや馬にはなれませんが、変に力を入れず自然体で純粋な気持ちで患者さんと関わることで少しでも癒しをもたらすことができるといいなと思いました。
第13章:病人の観察
もしあなたが観察の習慣を身につけられないのであれば、看護師になることを諦めたほうがよいであろう。なぜなら、たとえあなたがどんなに親切で熱心であるにしても、看護はあなたの天職ではないからである。
フロレンス・ナイチンゲール, 看護覚え書,p189,現代社,2017.
出だしからきつい言葉を引用してみました。
また、看護師教育の中で次のようなことを教えることが重要であると述べています。
①何を観察するか
②どのように観察するか
③どのような症状が病状の改善を示し、どのような病状が悪化を示すか
④どれが重要でどれが重要でないのか
⑤どれが看護上の不注意の証拠であるか、それはどんな種類の不注意による症状であるか
私の感覚では、上記の⑤が意外と見落としがちなことかなと思います。①〜④については、勉強すれば身につくことですが、⑤については少し違います。知識があるから大丈夫というものではなく、私たちが行なっている看護を客観的に見る力が必要となってくるのではないでしょうか。
患者さんの言動を「疾患によるもの」「患者さんの気持ちの問題」と片付けるのではなく、私たち看護師の言動による影響を考える必要があります。少し分かりづらいでしょうか?
例えば、病院でよく遭遇する場面ですが、認知症がある患者さんが何か興奮をしている場面があったとします。その時に複数人の看護師が周りを取り囲み、「ちょっと座りましょう!」「待ってください!」と言ってなだめています。それでも患者さんは興奮がおさまることはなく、むしろ余計に興奮してしまい悪循環に陥ってしまいます。
この場面、どちらに問題があるでしょうか?少しきつい言い方かもしれませんが、看護師の対応が問題です。「複数人で関わること、あちこちから制止する言葉をかけること」この2点が患者さんを余計に興奮させてしまいます。
このように、看護師の言動が患者さんの状態を悪化させてしまうことは、少なからず起こっています。私たちが与える影響はそれくらい大きいものだと自覚して、俯瞰的にアセスメントする能力を身につけていきたいですね。
最後に、観察について冒頭でも少し触れましたが、様々な医療機器があるがゆえにそれに頼ってばかりで安心するようなことがあってはいけないかなと思います。特に心電図モニターが付いている患者さんは要注意です。モニターのアラームが鳴らないからといって、ベッドサイドに行って観察することを怠らないようにしたいですね。
この章では細かく観察について書かれていますので、ぜひ読んでみてください。
以上で、ナイチンゲールの「看護覚え書」を終了します。
正直、長かった〜。笑。難しかった!!
でもこれを機会に私もきちんと読むことができたので良かったです。
今読むから理解できることがたくさんあるなぁと感じました。看護学生だけではなく、現役の看護師だからこそ読んでほしいなと思いました。
投稿の間隔がだいぶ空いてしまいましたが、その間も多くの訪問者がいてくれて感謝です。これからはできるだけこまめに投稿していけるよう頑張りますので、よろしくお願いします^^
ではまた♡
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