またもやお久しぶりです。
まだまだ新しい生活のリズムにブログを更新するという時間を組み込むことができずにいます。
今回はナイチンゲールの「看護覚え書」第10章:部屋と壁の清潔と、第11章:からだの清潔です。
ナイチンゲールは、第10章では「看護の仕事は、その大きな部分が、清潔の保持ということから成り立っている」と述べています。
また、第11章では身体を清潔にすることが、患者の生命力を解き放つと述べています。
では具体的に見ていきましょう。
第10章:部屋と壁の清潔
病院では毎日「環境整備」ということをしているかと思います。この毎日やっている環境整備がいかに大切かということをナイチンゲールは具体的に述べています。
部屋の掃除については、ほこりを追い出すための唯一の方法は「あらゆるものを濡れ雑巾で拭く」といことを強調しています。
ほこりの溜まった不衛生な病室は、患者の回復を妨げます。
健康な人でも、ほこりがすごいお部屋の掃除をするときは、マスクをしないと咳き込むことがありますよね。
入院している患者さんは抵抗力がすごく弱っています。細菌などの病原菌が付着したほこりが侵入し、感染症にかかる恐れがあります。
こう考えると、普段何気なくやっている環境整備も、きちんと丁寧に行うことで、患者さんを守ることにつながることがわかるかと思います。
また、床の掃除については、「毎朝濡れ雑巾をかけたあとに空拭きをしてほこりを除けば、まず完全である」と述べています。
特に注意が必要なのは、「絨毯」です。病室はほとんど絨毯などはないかと思いますが自宅などでは敷いている方もいるのではないでしょうか?(おしゃれだから敷きたいと私も思いますが・・・)
ナイチンゲールは「絨毯なるものは、およそ人間があれこれ発明考案してきたもののなかでも、最も始末の悪い代物であろう」と述べています。
部屋に出入りする人間の靴によって運び込まれるおびただしい量の有機物が、そっくりそのまま絨毯に染み込んでいるそうです。確かに。イメージできますよね。
少し話は逸れますが、我が家は最近、シロアリ駆除の定期点検を受けたのですが、そのときに業者さんに「絨毯は敷いていないから大丈夫ですね」と言われました。絨毯を敷くと絨毯の下が湿気がたまり、シロアリが床下に発生しやすいのだとか。
我が家は犬猫を室内で飼っているので、おしっこをかけられた時のことや毛がついて匂いの元になることが嫌で敷いていないだけだったのですが・・・。シロアリ対策の面からも絨毯はおすすめしないとのことでした。
ただ、ナイチンゲールは、もし絨毯を敷くのであれば、唯一の安全策として年に一度ではなく、年に二度も三度も、絨毯を床からはがして徹底的にほこりを落とすことをおすすめしています。
私の勤めている病院では、絨毯を敷くなんておしゃれなことはしていませんが、もしかすると高級な(?)病院では絨毯を敷いたりしている個室などもあるのかもしれません。が、、、その絨毯は清潔ですか?という視点も見落とさないようにしたいですね。
最後に、この章の中で一番重要なナイチンゲールの言葉を引用します。
病人たちは、健康人から見れば取るに足りない些細なことによって、まさにその身は毒され、心は暗くふさぎ込んでしまう。
フロレンス・ナイチンゲール,看護覚え書,p158,現代社,2017.
私たちにとっては普段意識しない、部屋の空気、温度、明るさなども、自分の手では変えられない患者さんにとっては、すごく重大な問題であり、それによって苦悩し、回復を遅らせる原因になるということをナイチンゲールは述べています。
現在では、病室や病院内の掃除は清掃業者に委託されている現状ですが、本来は看護師がこのような視点を持って行うことに重要な意味があるのだと気づかされました。
昔に比べると看護の世界も分業が進んできていますが、それによって患者さんの生活(環境)を見るという視点が弱まってきてはいないだろうか・・・と考えてしまいました。患者さんの生活、人生そのものに直に関わる、「看護」という仕事をもう一度振り返るいい機会になりました。
第11章:からだの清潔
みなさんの病院では、寝衣交換や清拭もしくはシャワーはどの程度の頻度で行われているでしょうか?
そして、その行為の意味を考えて行なっているでしょうか?決まっているから、ルーチンでやるものだから・・・病棟で勤務していた時期は私はそんな感覚でした。あまり深く考えたことはありませんでした。
この章の出だしの文を読んだとき、そんな大事なことだったんだ!?と驚きました。少し長くなりますが、ナイチンゲールの言葉を引用します。
ほとんどすべての病気のばあい、皮膚の機能は、多かれ少なかれ、不調をきたしている。しかも多くの重篤な疾患のばあい、排泄はほとんど全面的に皮膚を通して行なわれる。これはとくに、子供のばあいにいちじるしい。ところが、皮膚からの排泄物は、身体を洗うか衣類に吸着させるかして取り除かないかぎり、付着したままそこに留まるのである。看護師は常にこの事実を念頭に置いておくこと。なぜなら、病人の身体を不潔なままに放置したり、あるいは病人に汗やその他の排泄物が浸み込んだ衣類を着せたままにしておくことは、健康をもたらす自然の過程を妨げて患者に害を加えることになるからである。それはちょうど、身体にゆっくりと作用する毒物を、病人に口から飲ませているのと同じ結果となる。皮膚から与えられた毒物は、口から与えられる毒物と同様、確実にその作用を現わす。ただその作用が表に出てくるまでに時間がかかるというだけの違いである。
フロレンス・ナイチンゲール,看護覚え書,p159,現代社,2017.
この文を読んだ時、いかに寝衣交換や清拭(シャワー)が大事かと納得しました。
ここで、皮膚の機能についてもおさらいしておきましょう。
皮膚の機能
①排泄:汗を分泌して、体内の老廃物をだす。
②吸収:表皮や毛孔などから薬などの化学物質を吸収する。
③防護:バリア機能。体内の水分の蒸発を防ぎ、体外からの細菌や異物の侵入を防御する。
④感覚:触覚、温覚、冷覚、痛覚、圧覚などの情報を脳へ伝達する。
⑤体温調節:暑い時や身体を動かしている時に、汗を書いたり、熱を放散したりして、体温の上昇を防ぐ。
⑥免疫:病原菌やウイルスなどの有害物質などから身体を守る。
⑦保温:寒い時は、血管と毛孔を収縮させて、熱の放散を防ぐ。
こうやって見ると皮膚ってすごく色々な役割があって、それを十分に機能させるためにも皮膚の清潔はとても大切なことだとわかりますね。
また、ナイチンゲールは、清拭やシャワーが単に気分転換や気持ち良さを得るためだけではないということも強調しています。
患者さんの肺と皮膚から排出される病的な悪臭を除去するためには、室内の換気を行い患者さんのまわりの空気を絶えず新しくすることが大切で、それと同様に、皮膚に分布する小さな孔も、排泄物によって塞がれてしまわないよう、絶えず排泄物を除去しておかなければならないと述べています。
理想としては毎日でも清拭(シャワー)をしてあげたいですね。ただそれは叶わないのが現実問題・・・。でも、モーニングケアはどこの病院でも毎日行なっているのではないでしょうか?
顔や手を温かいタオルで丁寧に拭くこともすごく大切なケアなんだと思います。
いかがでしたか?
ナイチンゲールの看護覚え書もあと少しで終了です。残り1回分(第12章、第13章)プラスαくらいかな。
今日の内容は、もしかすると基礎看護演習で習ったような部分なのかもしれません・・・。(全く記憶にないですが)
看護ケアってやっぱり奥が深いですね。面白い。
普段何気なくやっていることに、こんな深い意味があるんだと思うとやりがいがすごくありますね。
今日もまた一日頑張って働こう!!
ではまた♡
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