今日は最近私が読んだ中で一番学びとなった1冊を紹介します。
著者は現象学的な質的研究を専門としており、この本は、ケアを受ける人や医療従事者、
ソーシャルワーカーへの聞き取りを通じて、ケアのあり方について論じられています。
ケアとは病む人と共にある営みである
病むことは、孤独であるということであり、
自分の孤独の中核にあるものを和らげられないこと、
あるいは、他の人に伝えることさえできないことである。
トラベルビー「人間対人間の看護」
著者はトラベルビーのこの一文を引用し、ケアとは病む人と共にある営みであり、
必ずしも治すことを目的とすることではないと述べています。
確かに、現場で働いていると、突き当たる現実。
それは必ずしも患者さんすべてが元気に退院するわけではないということです。
むしろ、入院患者さんのほとんどは高齢者。つまり病と共に生きている人です。
病を抱えて生きている患者さんに対し、私たち看護師がやるべきこと、
それはまずは「共にいる」ということです。
患者さんを周りの人とつなぎなおす
病によって孤独になりがちな患者さんと共にいるとはどういうことか。
それは、患者さんの語る言葉に耳を傾ける。つまり「聴き取る」こと。
それがケアとなります。
しかし、患者さんの中には聴き取ることそのものが難しい方もいます。
それでも著者は「コミュニケーションを絶やさない努力」が必要であると述べています。
共にいることで、つながりを作ること。
ケアは人と人とのつながり、結局は「コミュニケーション」が必須となるわけですね。
言葉では簡単に聞こえますが、実際の現場ではなかなかそこが一番難しいのでは?
このコミュニケーションについては次回、詳しくお話ししたいと思います。
患者さんと関わる上で大事にしていること
自己紹介にも書いたように、私は専門看護師として横断的に活動しています。
患者さんと関わるきっかけは大体がいわゆる「困った患者さん」です。
この表現、あまり好きではないのですが、あえてこの表現を使わせてもらいます。
病棟から「手に負えない患者さんがいるのでお願いします」と相談を受け、
実際に病棟に行き、患者さんと関わるというパターンがほとんどです。
その時に一番大事にしていることはただ一つ。
「患者さんが話していることをただただ聴く」ことです。
否定も肯定もせず、「そうだったんですね」と頷きながら耳を傾ける。
それだけでほとんどの患者さんは穏やかになります。
それがすごく不思議?だったんですが、この本を読んでからつながりました。
おそらく、患者さんは「不安感」「孤独感」でいっぱいだったんだと思います。
そこにただただ側にいて時間を共有し、話を聴いてくれる人が現れた。
人としてのつながりができ、不安や孤独が和らいでいったのだと思います。
もちろん、現場は忙しくバタバタしている、一人の患者さんに付き添うなんて無理。
そういう声も理解できます。
でも、長〜い目で見たら、今ここで時間を作ってケアすることは、
患者さんにとってだけでなく、ケアする側にとってもプラスになるのです。
それができるよう、現場を整えていくことが私の課題です。
ではまた明日♡
コメント
[…] そうすることが「共にいる」ということだと。→過去記事も参考にしてください。 […]