看護に活かすジョン・P・コッターの企業変革理論

リーダーシップ

今回は「変革理論」についてお話しします。

看護の現場では様々な問題が日々起こっていると思います。

その中には、「こういう風にしたらいいと思うのになぁ」と、自分の中で感じてることもあるのではないでしょうか?

看護現場を変えるためには、ただ思っているだけでは変わりません。行動に移さなくては・・・。

そう思いつつ実際に「どう動き出したらいいのかわからない」のが正直なところ。

私は立場上、リーダーシップを発揮しなければならない場面も多々あります。

しかし、これがかなり苦手な部分です。

そんなとき、1冊の本に出会いました。

看護現場を変える0〜8段階のプロセス」(倉岡有美子著)です。

この本は、ジョン・P・コッターの企業変革理論を看護の場で応用できるように解説されている本です。

まずはジョン・P・コッターの変革理論について簡単に説明したあと、看護にどう応用するのか本書の要点を説明していきます。

ジョン・P・コッターの変革理論とは?

そもそも「ジョン・P・コッターって誰?」と思っていませんか?

私はこの本に出会うまで、存在を知りませんでした。。。

ハーバード大学などを経て、ハーバード大学ビジネススクールの松下幸之助記念講座名誉教授。(中略)企業におけるリーダーシップ論の権威として国際的に知られ、グローバルリーダーに対する変革的リーダーシップの指導を目的としたコッター・インターナショナルの創設者でもある。

コトバンクより一部引用

つまり、リーダーシップ論で国際的に名が知れたお方ということですね。

コッターは変革に挑戦した100の企業の調査をし、変革における失敗は十分に予想できること、そして、失敗の最大の理由は成功事例を見聞きする経験が少ないことを発見しました。そして、成功事例に共通した特徴を見出し、「企業変革8段階」が生み出されました。

では、コッターの企業変革理論を説明していきます。

企業変革理論の8段階
第1段階:危機意識を高める
第2段階:変革推進チームを作る
第3段階:適切なビジョンをつくる
第4段階:変革のビジョンを周知徹底する
第5段階:従業員の自発的な行動を促す
第6段階:短期的な成果を生む
第7段階:さらに変革を進める
第8段階:変革を根づかせる

また、コッターはこの8段階は順序通りに進めることが重要であると述べています。

ここで少し、第3段階の適切なビジョンについて解説を加えます。

コッターは「ビジョンは1ページに収まり、エレベーターに乗っているあいだに説明できる。」と述べているそうです。

つまり簡潔であることが大事ということですが、これは単純にするということとは違います。

簡潔であり、かつ、具体的にイメージできることがビジョンをつくる上では大事だと言われています。

さらに言えば、ワクワクするような魅力があり、ありありとしたイメージができるようなビジョンが理想的です。

逆に言えば、ビジョンが現実からかけ離れすぎてイメージできないことであったり、魅力がないものだと、その後の段階である「従業員の主体的な行動」にはつながりません。

では、この企業変革理論を看護の場でどのように応用していくのかについて本書の内容を解説していきます。

ジョン・P・コッターの変革理論を看護現場にどう活用するのか?

著者はコッターの変革理論は、一般企業を対象としているため看護の現場には馴染みがないものであるとして、看護現場で働いている人が理解しやすいように表現をアレンジしています。また、コッターの変革理論にはなかった、0段階を追加しています。

以下に0〜8段階について整理してみます。

看護現場における変革理論
第0段階:(問題の証拠を集める)本当に変革すべき問題なのですか?
第1段階:問題と思っているのはあなただけではないですか?
第2段階:味方はいますか?
第3段階:あなたが改善したいことを分かりやすい言葉で表現できていますか?
第4段階:あなたが改善したいことを周りの人は知っていますか?
第5段階:周りの人たちもやる気になっていますか?
第6段階:取り組んでみたことで変化はおきましたか?
第7段階:なかだるみしていませんか?
第8段階:いつのまにか、元のやり方に戻っていませんか?

著者は、取り組む問題を明確化することが難しく、最も重要であると考え、0段階を追加したそうです。

確かに、看護現場には様々な問題がそこら中に散乱しています。それを手当たりしだい取り組んでいたのでは、時間もエネルギーもかかってしまいます。もっとも重要な問題は何か、優先すべきことは何か?ということを見極める段階がとても重要だと私も思います。

本書では、各段階についても具体的に例をあげながら解説しています。気になるかたはぜひ、読んでみてください。

変革を促すための重要な要素は「感情」?

コッターは変革を成功させるための重要な要素は、従業員が「見て、感じて、変化する」ことだと述べています。

例えば、「身体拘束をなくそう」という取り組みをするとします。その時にただ、「身体拘束をなくす」と掲げても、誰もついてこないですよね。出てくる言葉はきっと「そんなの無理に決まっている」「じゃあ拘束していない間、誰が患者さんを見るんですか?」ということでしょう。(実際にありました。)

その時に、まず実際に身体拘束をしないことによる患者さんのプラスの変化を見せることで、スタッフも「すごくいい表情している!」とか「意識がはっきりしてきた!」とプラスの感情を抱くことができ、「身体拘束ってやっぱりしないほうがいいよな」と意識が変化していくのだと思います。

このように、変革の主導者となる人は、まずは自分が実践して見せ、プラスの変化をスタッフへ見せることでスタッフの意識変容を促すということがポイントとなります。



私は大学院で専門看護師の教育過程で学びましたが、その時によく言われた言葉が「専門看護師はチェンジエージェント」としての存在になるのだということです。チェンジエージェントとは、「組織における変革の仕掛け人」あるいは「媒介役」として変化を起こしていく人のことを言います。

同時に、私にはその資質が少し足りないのではないか・・・ということも指摘されました。

実際にその通りです(笑)。

先ほども言いましたがものすごく苦手です。

この本を読んで、頭では理解したつもりでも実際に行動に移すとなると、難しいものです。

ですが、まぁ焦らず、自分ができる範囲で少しずつ進めてみようと思います。

ではまた明日♡

コメント

  1. みゆうき より:

    看護現場における変革理論、、、
    読んでいて、まさに今自分が手掛けている事柄と照らし合わせて、あちゃちゃのちゃ、となっています。患者さんや家族の変化をいち早く収集でき、必要なサービスを提供、状況に即応、関連部署でのシームレスな繋がり、、と考えて始めた事なのですが。第三段階以降を自分に問くと、もやもやもやもや、となります(笑)スタッフが、私の対応や記載内容を見て、感じて、変化してくれたらな、と、意識して活動していますが、、
    これは、おごりですね。
    私のように、とは思ってないのですが。
    この患者さんは、今このような気持ちだよ、こう対応したら穏やかさに繋がるよ、など、あえて記載したりして。
    なかには、このようにしてみると、患者さんが笑顔になってくれました、苦手な対応ですが少しずつやってみます、という声が聞けて、嬉しくなったり。

    頑張らねば、と思うのです!
    拝読して、心に優しい気持ちとピシッとする気持ちが湧きます🌸
    いつもありがとうございます😊

    • hanako より:

      みゆうき様

      すごくわかります!!私も見て感じて変化してくれたら・・・と思いながら、患者さんと接しているところを見せたり、看護記録に事細かに患者さんの感情や発言を描いて見たりとします。
      が、伝わり方はひとそれぞれですね。でも一部の人だけでも感じてくれたらそれでOKと思うようにすると少しは気が楽になりますよね。
      コッターの変革理論でもあるように、問題と思っている仲間を作り、その仲間たちとビジョンを描くということがとても大事なのでしょうね。
      私はそこからできていなかった・・・(笑)
      また四月から気持ち新たに私も頑張ろうと思います!!
      一緒に頑張っていきましょうね^^

      いつも温かいコメントありがとうございます。
      私も励みになります。

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