今回は認知症ケア関連の本をご紹介します。
とりあえず第一弾は4冊です。
どの本も認知症本人とその家族を理解するための助けとなると思いますので気になる本があれば読んでみてください。
老乱(久坂部羊著)
この本の著者は在宅訪問診療に携わる医師です。そのため、小説とは思えないリアルさがあります。
認知症の初期から終末期までの症状や、本人の思い、家族の思いが詳細に描かれています。
認知症という疾患の理解(この本ではレビー小体型認知症という設定)を具体的にイメージすることができ勉強になりました。
また、認知症の症状が進んでいく中での本人の不安、混乱などの思いや、本人のことを思うが故に一生懸命に病気の進行を遅らせようとする家族の言動、そしてそのことがまた本人を苦しめるという悪循環が見事に描かれています。
私たちケアする側は認知症の人のこのような気持ちを理解し、本人が安心できるような関わりが一番重要だと改めて思いました。
また、同時に家族が認知症を受容できるようにサポートすることが本人のケアにつながるのだと思います。病院ではつい後回しになりがちな、家族のサポート。そこにもっとアプローチする必要性を感じました。
あの年でセクハラよ。みっともない。これ以上、問題が起きたらわたしはもう耐えられない。認知症なのはわかってるわよ。・・・(中略)認知症の人には寄り添って、ともに生きる姿勢が大事とか言われるけど、そんなの無理よ。わたしはお義父さんにきちんと薬ものませて、認知症予防の体操を必死で教えて、転倒しないように筋力強化やバランス訓練もさせて・・・(中略)できるかぎりのことをしてきたのよ。なのにどうしてこうなるの。」
p197 介護する嫁の気持ち
今はいやなことをされることもなく、焦ったり、がんばったり、慌てたりする必要もない。叱られたり、怒鳴られたり、ため息をつかれることもない。ただ言われるがままになっていればいい。それでいいのかどうかもわからないが、みんな笑っているから、きっといいのだろう。今はつらいことも心配も何もない。
p358 認知症後期の本人の気持ち
認知症の人の歴史を学びませんか(宮埼和加子著)
認知症ケアの歴史的背景を知りたい方にはこの本がオススメです。
写真が豊富に用いられていて、わかりやすく解説されています。
写真を見るだけでも認知症の人が置かれていた立場の厳しさが伝わってきます。
恐ろしいと思うと同時に、今も変わらない部分があるかも・・・と思う気持ちもあります。
これから先、3人に1人が認知症になると言われている時代が到来します。
認知症の人が当たり前に暮らせる世の中になるために私にできることは何か?
常に考えていきたいと思います。
ここまでの歴史というのは、悲しいものです。認知症になってしまった人の多くは、これまで悲惨ともいえる姿で生き、そして亡くなっていかれました。私は「その悲しい歴史を忘れてはいけない、繰り返してはいけない」と思い、筆をとりました。
はじめにより抜粋
認知症の語り 本人と家族による200のエピソード(健康と病いの語り ディベックス・ジャパン編)
この本は認知症本人と家族介護者の語りを綴った1冊となっています。診断された時、治療について、症状との付き合い、認知症になるということ、介護者になるということ、社会資源の活用などについて章立てされています。
病院にいて直接語りを聞くことも大事ですが、なかなかゆっくり時間が取れないというのも現実です。この本を読むことで認知症本人と家族介護者の気持ちを理解し、病棟でもケアに少しでも行かせることができるといいなと思います。
1つのエピソードは2ページでまとめてあるので、1日1つずつエピソードを読むのもオススメです。
私はトイレに置いて読んでいました(笑)
「幻視が見える」私を誰が普通の人間と思ってくれるだろうか
そう思うととてつもなく孤独だった
p71 若年性認知症本人の語り
認知症の父が夜中に出かけていくのは
自分が見えている幻覚に
本人なりに対処しようとしての行動のようだ
p239 介護者の語り
忘れんぼさんへのマナー(ジョアン・サウアーズ著)
脚本家でもある著者は、自分の父親と義父の認知症から学んだアイデアをシェアしたいという思いからこの本を出版したそうです。
サブタイトルに「記憶をなくしはじめた愛するひとを最後まで支えるヒント」とあり、介護者へのアドバイス集とも言えます。
私は図書館でこの本に出会いました。デザインの可愛さに惹かれ、思わず手にとって中身を読むと、すごく心が温まる1冊だったので結局は購入しました。
優しい言葉で書かれているので、認知症ケア教育にも使えると思います。
どうせ忘れてしまうのに、いいニュースを伝えたってムダだ、と思うかもしれないけど、
ムダじゃない。
いいニュースは幸せホルモンを分泌させるから、楽しい雰囲気を長もちさせてくれる。
たとえその理由を忘れてしまっても。
p64
うっぷんを晴らすコツを見つけよう。−相手の目の前でじゃないよ。
忘れんぼさんのお世話をすると、頭にくることもあるけど、
ガミガミ言ったところで、
相手にもあなたにも、なんにもいいことはない。
p45
以上、4冊を紹介しました。
1冊でも気になる本があると嬉しいです。
第二弾も考えていますのでお楽しみに。。。
ではまた明日♡
コメント
拝読させてもらってますm(._.)m
参考になります。
勝手な希望ですが、ブログアップした時にお知らせ機能とか欲しいです。
いつも楽しみにブログ待ってます。
フミオ様
いつも見てくださってありがとうございます。
お知らせ機能について、どのようにしたら良いのか調べているところです。
まだまだブログ初心者なので・・・。
もうしばらくお待ちください。
これからもよろしくお願いします。