看護の仕事って何?初心に立ち返って考えてみる

高齢者ケア

今回は看護について考えてみたいと思います。

過去記事も参考にしながら考えると理解が深まると思います。

ケアとは何か

コミュニケーションを絶やさない努力

今回参考にした本は記事の最後にリンクを貼っていますので参照してください。

看護の原点:自然治癒力を高めること

結論からお話すると、看護の仕事の原点は「自然治癒力を高める」ことです。

みなさんもナイチンゲールの看護覚え書は一度は見たことがあると思います。

その中にも、以下のように記述がされています。

看護がなすべきこと,それは自然が患者に働きかけるに最も良い状態に患者を置くことである。

F・ナイチンゲール著,湯槇ます,薄井坦子,小玉香津子,田村真,小南吉彦訳:看護覚え書,p222,現代社,2000.

そして日本看護協会による看護業務基準にも以下のように明記されています。

看護職は、看護実践において看護を必要とする人の安心と安全を第一に考え、その人が持っている力を最大限引き出すように、専門知識に基づき支援する。また、自己の看護実践の質の向上に努め、社会から信頼される専門職であり続けるよう研鑽に努める。

看護業務基準 公益社団法人日本看護協会 2021年改訂版

その人が持っている力と自然治癒力は正確には同じ定義ではないかと思いますが、

その人が持っている力の中に自然治癒力が含まれていると私は考えます。

日常生活を整えることの大切さ

では、自然治癒力を高めるためにはどうすればいいか、

それは「日常生活を整える」ことです。

みなさん看護学生時代を思い出してください。

1年生のとき、最初にやった看護技術の授業のほとんどは日常生活援助だったと思います。

シーツ交換を含む環境整備から始まり、対位変換や車椅子移乗の援助、食事介助、排泄介助など

すごく時間をかけて学んだと思います。

私はなんだかんだでこの日常生活援助の講義が一番印象に残っているんですが、

それはただ先生が厳しかったから(笑)大事だと思っていたわけではないのが正直なところ。。。

それくらい不真面目な学生だったんですが、

今になってようやくこの日常生活援助がいかに大切なことかがわかります。

「看護覚え書」にこの日常生活を整える援助について細かく書かれていますが、

ヘンダーソンの「看護の基本となるもの」にも下記のように明記されています。

看護師は各人が以下を行うのを助ける。

1.正常に呼吸する

2.適切に飲食する

3.あらゆる排泄経路から排泄する

4.身体の位置を動かし、またよい姿勢を保持する

5.睡眠し休息をとる

6.適切な衣服を選び、着脱する

7.衣服の調節と環境の調節により、体温を生理的範囲内に維持する

8.身体を清潔に保ち、身だしなみを整え、皮膚を保護する

9.環境のさまざまな危険因子を避け、また他者を傷害しないようにする

10.自分の感情、欲求、恐怖あるいは“気分”を表現して他者とコミュニケーションをもつ

11.自分の信仰に従って礼拝する

12.達成感をもたらすような仕事をする

13.遊び、あるいはさまざまな種類のレクリエーションに参加する

14.“正常”な発達および健康を導くような学習をし、発見をし、あるいは好奇心を満足させる

ヴァージニア・ヘンダーソン著,湯槇ます,小玉香津子訳,看護の基本となるもの,p79-80,日本看護協会出版会,2013

引用が長くなりましたが、大事なことなので記しておきます。

私たちが普段当たり前に行なっている看護ケアを振り返ってみて

「自然治癒力を高める関わりをしているだろうか」

と自問してみてください。

日常生活援助の大切さを実感した事例

最後に私が実際に体験した事例についてご紹介します。


仮にAさん(85歳)女性としておきます。

Aさんはレビー小体型認知症で今回は食欲低下により入院となりました。

入院後すぐにリハビリも導入されましたが、活気がなくリハビリが進まない状況でした。

そんな中、専門看護師として介入することになったのですが、

まずAさんの元々のADLの状況を確認しました。

すると家ではほとんど軽介助で過ごせていることがわかりました。

それがわかってから、モーニングケアの時にベッドではなく、洗面所へ誘導しました。

車椅子移乗する時はほぼ全介助の状態だったのですが、

洗面所についた途端、自ら手を伸ばし、蛇口をひねり顔を洗い出しました。

普段の生活行動に合わせてケアをすることで本人の持てる力が発揮された場面でした。

その後、リハビリのスタッフとも話し合いをし、生活行動に合わせてリハビリを行うようにしました。


なんだそんなこと?と思う方もいるかもしれませんが、

そんな単純なことが意外と見落とされていることがあります。

例えば、清拭をするにしても全員ベッド上で横になってもらっていませんか?

座位保持ができる方はベッドをギャッジアップして座ってもらうだけで

自分で上半身を拭きやすくなるので、自らが持てる力が発揮されると思います。

他にも、一見寝たきりに見える患者さんでも、ブラシを渡すと自分で髪を整える方もいました。

ブラシで髪をとかすことも立派な上肢のリハビリです。

このような小さな積み重ねが患者さんの回復を促し、退院促進にもつながります。

是非、小さなことでもいいので明日からできるケアを考えてみてください。

何か一つでも、まずはやることが現場に変化をもたらします。

ではまた明日♡

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